滞在中 入門 2026.07.03

アメリカ駐在の銀行口座、着任1週間で作った実手順

——Chase・BofA・地方Credit Union、僕が選んだ理由
読了 約12分 ✓ 内容確認 2026.07.03 全7章
筆者:Jin|アメリカ駐在4年目・米国工場長

日本の製造業から渡米し、赤字工場を黒字化。実資産を 2,000万→6,400万円 にした過程を、失敗も実数字も公開しています。FPでも税理士でもない「自分で全部やった人」の記録です。著者の経歴 →

先に結論:着任直後の口座は「どの銀行が一番いいか」で悩むより、会社指定か職場・自宅の近くにブランチがある銀行を1つ、まず開けることが正解。Chase・BofAはSSNなし(パスポート+ビザ)でも窓口なら開けるが、利子のつくSavingsはSSN/ITINが要る。そしてここが一番大事:デビットカードをいくら使ってもクレジットヒストリーは1ミリも積まれない。口座を開けたら、その足でクレヒス構築を並走させること。僕は着任1週間でSSN→口座→デビットまで通したけど、「銀行選び」で2年間の高金利を取り逃した反省もある。以下、足場(比較表)と僕の実手順の両方を書く。

着任してホテル暮らしのまま、SSN・銀行口座・運転免許を順番に回る——駐在1年目の全員が通る道です。中でも銀行口座は「クレカも家賃も給与受け取りも全部これが起点」なのに、会社は「近くの銀行で作って」くらいしか教えてくれない。僕もそうでした。

この記事では、①Chase・BofA・地方Credit Unionを手数料・最低残高・機能で比較した表(誰でも使える足場)と、②僕が実際に着任1週間で口座を開けた手順・つまずき・その後の失敗を重ねて書きます。同僚に「まずこうしとけ」と話す感覚で。

アメリカの銀行口座、Chase・BofA・Credit Unionはどう違う?

大手2行(Chase / Bank of America)と地方Credit Union(信用組合)は、性格がけっこう違います。

項目ChaseBank of America地方Credit Union
月額手数料(Checking)$15(Total Checking)$12(Advantage Plus)$0〜$5が多い
手数料の免除条件直接入金 月$500以上/残高$1,500以上 等直接入金 月$250以上/残高$1,500以上 等そもそも無料の口座が多い
ATM網全米で自社ATM多数(Chase ATM $0)全米に自社ATM多数CO-OP Shared Branch参加で全米広範囲(要確認)
Savingsの金利低め低め全米平均より高めの傾向(要確認)
アプリ・オンライン強い(英語のみ)強い(英語のみ)大手CUは充実、小規模はまちまち
加入のしやすさ誰でも(窓口)誰でも(窓口)加入資格の確認が先(勤務先・地域・団体)
駐在員の使い勝手支店・ATMが多く安心同上手数料と金利は有利だが最初の一歩に手間

数字はChase・BofAの公式手数料ページ(Chase Total CheckingBofA 口座手数料一覧)ベースです。

大手2行の月額$12〜$15は「条件を満たせば無料」になります。駐在員なら普通は給与の直接入金(direct deposit)で免除条件を満たせます。BofAは直接入金$250以上、Chaseは$500以上。放置して残高も入金もないと毎月$12〜15、年で$144〜180が地味に溶けます。

Credit Unionは手数料・金利で有利ですが、「入れるかどうか」の確認が先。勤務先・居住地域・加盟団体などの加入資格があり、着任直後に「自分が入れるCU」を探す一手間が要ります。Navy Federalなど軍・連邦職員系は駐在員が入れないことも多いです(要確認)。

結局どれを選ぶ?——判断軸

「どの銀行がベストか」に唯一解はありません。状況で決めます。

あなたの状況向いている選択
会社に指定・紹介の銀行がある迷わずそこ。開設サポートが効き、給与入金もスムーズ
指定がなく、とにかく早く1つ欲しい職場・自宅の近くにブランチとATMがある大手(Chase / BofA)
手数料を1円も払いたくない/金利を取りたい加入資格のある地方Credit Union(探す手間を許容できるなら)
出張・引っ越しが多くATM網が命全米に支店が多い大手 or CO-OP網のあるCU

僕の実感では、着任直後の1個目は「安さ」より「早く確実に開けること」で選ぶのが正解。金利の最適化は後からいくらでもできます(この順番を間違えた話は後述)。

SSNなしでも口座は作れる?——必要書類と手順

「SSNがまだ来てない」——着任直後の最大の不安がこれ。SSNなし(パスポート+米国ビザ)でも、ブランチ(実店舗)に本人が出向けばChecking口座は開けることが多いです。ただし条件があります。

  • オンライン申込みは基本アウト。申込フォームにSSN必須フィールドがあり、パスポート番号では弾かれるケースが多い。窓口に本人が行くのが原則。
  • 利子のつくSavingsはSSN or ITINが必要。利息は米国税法上の課税対象なので、番号がないと開けないことが多い。まずはChecking+デビットから。
  • Chase・BofA・Citibank・PNCはITIN受け入れを公表しています(Chase 非居住者向けガイドBankrate: 非米国市民の口座開設)。

窓口に持っていく書類チェックリスト

銀行・支店で細部は違いますが、着任直後はこのあたりを一式そろえて行けば大きく外しません(最終的な必要書類は開設先の公式・支店に要確認)。

  • パスポート(写真付き本人確認)
  • 米国ビザ(E/L/H など)
  • SSN(取得済みならベスト。未取得ならパスポート+ビザで窓口交渉)
  • 住所証明(60日以内を求められがち):賃貸契約書(lease)/公共料金明細/給与明細 のいずれか
  • 初回入金の現金 or チェック(数十ドルでOKな銀行が多い)
  • 着任直後で住所証明が揃わない場合:会社の住所確認レター(Employment Verification Letter)(通用するかは銀行ごとに異なる・要確認)

住所証明が最初の壁になりがちです。ホテル暮らしで公共料金の明細なんて無いので、賃貸契約前だと会社レターで交渉、というパターンが出てきます。

窓口でつまずきやすいポイント

飛び込みより予約(appointment)が確実です。担当者不在で「SSNが来てから来て」と門前払い——という話をよく聞きます。

SSNなしで開けた場合、後日SSNを取ったら口座への紐付け申請が要ります。放置するとW-9の提出を求められることも。

あとは窓口ガチャがある。これは運転免許でも実感したんですが、アメリカは本当に自己責任の国で、窓口の担当者が適当なこともある。言われたことを鵜呑みにせず、一個一個「これで合ってる?」と自分で確認しながら進めるのが鉄則です。

なお「SSNを先に取ると口座開設は一気に楽になる」というのが僕の体感です。SSN取得の実手順は別記事にまとめています → アメリカ駐在のSSN取得手順

僕はこうした——着任1週間の実手順

ここからは僕の実際のケース。参考にする分にはいいけど、「これが標準」ではなく「一例」として読んでください。

  1. 着任 → 約1週間でSSN取得(会社の通訳サポートありでスムーズ)
  2. SSN取得後に銀行口座を開設。銀行は会社指定の地方銀行(Credit Unionではない中堅の商業銀行)。最初の入金は約$10、月額手数料なし。書類はSSN・運転免許など一般的なもの。
  3. 同じ銀行でデビットカードを作成(クレカが出るまでのつなぎ)
  4. 口座開設の約1ヶ月後に、最初のクレジットカード(日系のANA USAカード)を申請

正直、二度手間や大きな失敗はありませんでした。SSNを先に取ってから口座に行ったので窓口で詰まらなかった。会社指定の銀行だったので開設サポートも効いた。「どの銀行がベストか」で悩む時間をゼロにして、まず1個確実に開けた——今振り返っても正解でした。

でも「銀行選び」で2年間、高金利を取り逃した

きれいに開けた一方で、正直に書いておきたい失敗があります。

渡米時「どの銀行を作ればいいか全く分からず」、会社から紹介された銀行をそのまま使い続けました。で、2年目になって初めて「金利の高い銀行があるらしい」と気づいて調べ、口座を作り、給与の受け取り口座を切り替えた。最初の2年間、余剰資金を低金利の口座に寝かせて、高金利の機会を逃していたわけです。

いくら損したかは残高次第なので断定しません。ただ、当時の高金利savingsやSGOV(米短期債ETF)は年4〜5%が普通にあった時期で、まとまった生活防衛資金を0.01%の口座に置くのと4%台に置くのとでは、数十万円単位で差がつく話です(金利・税は要確認)。ここは別記事に詳しくまとめています → アメリカの高金利貯金 vs SGOV

開設は最速・最確実な銀行で。金利の最適化は落ち着いてから別口座で——この順番でいい。1個目で完璧を狙わなくていい。

Checking と Savings、どう使い分ける?

口座を開けるとき「Checking? Savings? 両方?」と聞かれます。基本構造はシンプル。

口座役割利息SSN/ITIN駐在員の使い方
Checking(当座)日常の入出金・デビット紐付けほぼなし無しでも開ける場合あり給与を受け取るメイン口座
Savings(普通/貯蓄)貯蓄・緊急予備費あり必要余剰をここに移す・生活防衛資金

「給与をCheckingで受け取り → 余った分をSavingsに移す」がド定番。CheckingからSavingsへの移動はACH(無料)でできます。かつてSavingsには月6回の引き出し制限(Regulation D)がありましたが、2020年の規制緩和後は銀行の裁量で運用が分かれます(Chase・BofAは公式で「制限なし」としているが要確認)。

海外送金(日本への仕送りや、日本から立ち上げ資金を送る)についても一言。銀行のワイヤーはChaseで海外ドル建て$40/回・窓口最大$50/回、BofAで$0〜$45と幅があり、さらに為替に中値から数%のマークアップが乗ることもあります(Bankrate: 送金手数料)。日本⇄米国の送金は銀行ワイヤーよりWiseなど専用サービスの方が安く済むことが多い。ここは手数料で万単位の差が出るので、別記事で比較しています → 海外送金の手数料比較

一番の落とし穴:デビットではクレヒスは1ミリも積まれない

これが本記事で一番伝えたいこと。銀行口座を開けてデビットカードを毎日使っても、クレジットヒストリー(クレヒス)はゼロのままです。

デビットの利用は信用情報機関(クレジットビューロー)に報告されません。「自分の口座から引くだけ」で借りていないので、信用の記録が作られない。ここを知らずに「口座もカードもあるし大丈夫」と半年過ごすと、クレヒス空白がまるまる半年伸びる——アパート契約・自動車ローン・クレカ審査で効いてくるやつです。僕自身、着任直後にクレヒスがなくて困ったのは「米国のクレカが作れない」ことでした。

だから口座を開けたその足で、クレヒスを積む手段を並走させる。着任直後の現実的な選択肢はこれ。

手段SSN特徴こんな人に
セキュアードカード必要なことが多い保証金$200〜$500を預けて発行。支払い履歴が3大ビューローに報告される王道。まず1枚
日系カード(ANA USAカード等)無くても作れる定番日本の与信ベースで発行。クレヒスの土台づくりに日本から関係を持てる人
移民・留学生向けカード(Zolve/Tomo等)不要パスポート+ビザで審査SSN待ちの人
家族・同僚のAuthorized User不要既存カードに追加してもらい履歴を共有頼める相手がいる人
ITIN取得後の申請(Discover/Capital One等)ITINSSNなしでも申請可を公表ITIN取得済みの人

(SSNなしでのクレカ申請はExperian公式の解説が分かりやすいです)

僕の場合は、SSN取得後すぐデビットを作って生活のつなぎにしつつ、口座開設の約1ヶ月後に日系のANA USAカードで土台を作り、そこからクレヒスを育てました。デビットはあくまで「クレヒス0期間の生活手段」で、スコアを積むのは別——と割り切っていた。「つなぎのデビット → 土台カード → 本命カード」の順番と実数字は、クレヒス構築の記事に詳しくまとめています → 駐在のクレジットカード戦略・クレヒス0からの作り方

まとめ:完璧な1個目より、動く1個目を

銀行口座は「一生の選択」じゃありません。最速で確実に開けられる1個目を作って、生活を回し始めることが最優先。金利も、サブ口座も、送金の最適化も、全部あとから足せます。2年間高金利を逃した僕が言うんだから、間違いない。

そして、口座を開けた達成感で満足しないこと。デビットを握った瞬間から、クレヒスの時計はまだ動いていない。そこだけ、着任初日に思い出してください。

よくある質問

Q. SSNがまだ来ていません。銀行口座は作れますか?

はい、多くの場合は作れます。Chase・BofAなど大手は、パスポート+米国ビザを持ってブランチ(窓口)に本人が行けばChecking口座を開けることが多いです。ただしオンライン申込みはSSN必須で弾かれがちで、利子のつくSavingsはSSN/ITINが要ります。SSNを先に取ると開設が一気に楽になるので、取れるなら先に取るのがおすすめです。

Q. 手数料の安い地方Credit Unionと大手銀行、どちらがいいですか?

金利と手数料だけならCredit Unionが有利ですが、加入資格の確認と口座開設に手間がかかるため、着任直後の1個目には大手(支店・ATMが多く、会社指定にもなりやすい)が現実的です。生活が落ち着いてから、加入資格のあるCUや高金利口座を2個目として足すのがバランスの良い進め方だと思います。

Q. デビットカードを使っていればクレジットヒストリーは貯まりますか?

貯まりません。デビットの利用は信用情報機関に報告されないため、口座とデビットがあってもクレヒスはゼロのままです。クレヒスを積むには、セキュアードカード・日系カード・移民向けカードなど、信用機関に支払い履歴が報告されるクレジットカードを口座開設と並走で用意する必要があります。

免責

この記事は一人の駐在員の実体験の記録であり、投資・税務・法律の助言ではありません。 投資は自己責任で、税務は必ず専門家にご相談ください。制度・手数料は執筆時点の情報です。 詳しくは免責事項へ。

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『駐在のお金、全部やってみた』

このブログの4年分の記録を、出国前→着任→駐在中→帰国の時間軸で1冊に再構成しました。 失敗の実額と実ポートフォリオまで、全部載せています。