赴任前 入門 2026.07.08

ドル転の手数料、どこが一番安い?銀行窓口・ソニー銀行・Wise・FX口座を赴任前に全部比べた結論

読了 約9分 ✓ 内容確認 2026.07.08 全10章
筆者:Jin|アメリカ駐在4年目・米国工場長

日本の製造業から渡米し、赤字工場を黒字化。実資産を 2,000万→6,400万円 にした過程を、失敗も実数字も公開しています。FPでも税理士でもない「自分で全部やった人」の記録です。著者の経歴 →

結論を先に。 100万円をドルに換えるとき、メガバンク窓口は約6,700円、住信SBIネット銀行なら約400円と、同じ金額でも15倍以上の差が出ます。理由は「TTS」という為替レートに埋め込まれた見えないスプレッド。赴任前のまとまったドル転なら住信SBIネット銀行(片道6銭)が現実解。FX口座は理論上いちばん安いけれど、赴任後は非居住者規制で原則使えなくなるので駐在員には向きません。

赴任前、僕が一番知りたかったのに誰も教えてくれなかったのが「送金と両替の正しいやり方」でした。実際、送金の手数料を甘く見て4.5万円を無駄に払ったこともある。円をドルに換える「ドル転」も同じで、手段を間違えるだけで数千円〜数万円が静かに消えていく。この記事は、その「静かに消える金額」を手段ごとに全部並べて、赴任前の自分に渡したかった比較です。

税金や為替の話は「僕はこう判断した」というスタンスで書きます。投資助言ではないので、最後は自分の状況で確認してください。

そもそもドル転の「手数料」はどこに隠れている?

用語から整理します。ここを押さえると、銀行窓口が高い理由がすっきりする。

  • TTM(仲値) … 市場の中間レート。ニュースで見る「1ドル=150円」がこれ。
  • TTS … 円 → ドルに換えるときのレート(Telegraphic Transfer Selling)。
  • TTB … ドル → 円に戻すときのレート。

銀行はTTMに手数料を上乗せしてTTS/TTBを作ります。たとえばTTMが150.00円の日に三菱UFJ銀行の窓口で両替すると、TTSは151.00円(+1円)。この「+1円」が1ドルあたりの手数料ですが、レートの数字の中に埋め込まれているので「手数料」として明細に出てこない。ここがドル転の一番のワナです。往復(買って・戻す)で2倍かかります。手数料の根拠は三菱UFJ銀行の外貨預金手数料ページに載っています。

つまりドル転で見るべきは「手数料◯円」の表示ではなく、片道で1ドルあたり何銭(何円)上乗せされているか——この一点です。

手段別・ドル転コスト早見表(100万円・TTM150円・片道)

先に全体像を。100万円(約6,667ドル)を片道で換えたときの目安です。

手段片道コスト目安上乗せ(片道)ひとこと
メガバンク窓口約6,700円+1円/ドルいちばん高い。使う理由はほぼない
三菱UFJ ネット約1,700円+25銭/ドル窓口よりマシだが割高
三井住友 ネット約3,300円+50銭/ドルメガバンクネットでも幅がある
ソニー銀行(基準)約1,000円15銭/ドルステージ優遇で下がる
ソニー銀行(プラチナ)約270円4銭/ドル最優遇なら最安級
住信SBIネット銀行約400円6銭/ドル★赴任前の実務バランス点
Wise約4,400円固定67円+0.43%★換金+米国口座への送金込み
FX口座(SBI FXトレード)約12円0.18銭/ドル最安だが赴任後は原則使えない

数字の出どころは各社公式です(住信SBIの為替コストソニー銀行の手数料)。以下、性格の違いを掘ります。

メガバンク窓口は「安心料」が高すぎる

三菱UFJ・三井住友・みずほの窓口はどこも片道1円/ドル。100万円で約6,700円が、レートに溶けて消えます。ネットバンキング経由なら三菱UFJで25銭まで下がりますが、それでも約1,700円。後述のネット銀行と比べると数倍高い。

「会社で紹介された銀行だから」「窓口が安心だから」で選ぶと、この差を毎回払い続けることになります。僕自身、渡米後の銀行選びを会社紹介のまま2年間放置して、高金利口座への切り替えが遅れた前科があります。惰性は地味に高くつく——身をもって学びました。

住信SBI・ソニー銀行——赴任前のドル転はここが現実解

ネット銀行の外貨預金は、コストを「片道◯銭」と銭単位で明示してくれます。透明性が段違いです。

  • 住信SBIネット銀行:通常6銭/ドル(買付・売却共通)。外貨積立なら0銭。過去には米ドル買付0銭のセールも実施。100万円で約400円。
  • ソニー銀行:Club Sのステージ制で15銭〜4銭。基準でも約1,000円、プラチナなら約270円。

赴任前に「まとまった円を一度に大きくドルにしておく」用途なら、住信SBIの6銭がコストと使い勝手のバランス点だと思います。SBI証券と連携すれば外貨の入出金も無料。ソニー銀行はステージが上がるほど有利なので、既にメイン口座で残高がある人向けです。

Wiseは「両替」ではなく「換金+国際送金」

Wiseは性格が違います。円を入金すると、米国の自分の口座にドルが届く国際送金サービス。手数料は**固定67円+変動0.43%**で、為替はミッドマーケットレート(仲値)そのまま——スプレッドなし。100万円で約4,400円です(Wiseの手数料改定情報。2025年6月に改定があったので、最新値は公式シミュレーターで確認を)。

数字だけ見ると住信SBI(約400円)より高い。でもWiseは「換金」と「米国口座への送金」を1回でやってくれる。住信SBIでドル転しても、それを米国口座に届けるには別途海外送金が要る。ここを合算して初めて公平な比較になる——これが次の章です。

【必読】WiseとSBIルート、どっちが得?金額で逆転する分岐点

比べるのは次の2ルートです。

  • Wise:換金+米国送金コミコミで、ほぼ送金額の0.43%(固定費67円は誤差)。
  • SBIルート:住信SBIで6銭ドル転(≒0.04%)+ 海外送金手数料。中継・受取銀行の分を含めると1回あたりおおむね6,000円前後かかります(詳細は海外送金の手数料比較記事を参照。実額は銀行・経路で変わるので要確認)。

Wiseは「率」のコスト、SBIルートは「固定費+わずかな率」。金額が小さいうちはWiseが安く、大きくなると固定費が薄まってSBIルートが逆転します。

1回の送金額Wise(約0.43%)SBIルート(ドル転+送金約6,000円)有利なのは
50万円約2,200円約6,200円Wise
100万円約4,400円約6,400円Wise
150万円約6,500円約6,600円ほぼ互角
200万円約8,600円約6,800円SBIルート
300万円約13,000円約7,200円SBIルート
500万円約21,600円約8,000円SBIルート

分岐点はおおむね150万円。判断軸をひとことで言うと——

1回の送金が150万円未満、または細かく何回も送るなら Wise。1回150〜200万円を超える大口を、少ない回数でまとめて送るなら SBIルート。

Wiseの固定費はほぼゼロなので、回数を分けてもコストは率のまま。逆にSBIルートは送金1回ごとに約6,000円の固定費がかかるので、小口を何度も送ると割高になります。「大きく・少ない回数」ならSBIルート、「小さく・こまめに」ならWise——これが結論です。

FX口座は最安なのに、駐在員には勧めない

理論上の最安はFX口座です。SBI FXトレードの米ドル/円スプレッドは0.18銭。100万円換算でコストは約12円。桁が違います。

それでも駐在員には勧めません。理由は2つ。

  1. 現物のドルを受け取るのが面倒。FXは差金決済が基本で、実際にドルを引き出すには「現受け(外貨引出し)」という特殊な手続きが要ります。
  2. 赴任後は非居住者規制で原則使えない。SBI FXトレードは非居住者になる場合、建玉の全決済・全額出金・口座解約が必要と明記されています(SBI FXトレードのFAQ)。SBI証券も非居住者は原則新規取引不可。多くの国内FX業者が同様です。

損益の扱いも雑所得(申告分離課税)で確定申告が必要になり、外貨預金の為替差益とは区分が変わります。数円を得るために手間と規制リスクを背負う——赴任という文脈では割に合いません。

結局どう選ぶか——赴任前と赴任後で分ける

ここまでを時間軸で整理するとシンプルになります。

タイミング目的選ぶ手段
赴任前まとまった円を一括でドルに住信SBI(6銭)でドル転 → 大口送金ならそのまま海外送金
赴任前米国口座へ小口を届けたいWise(換金+送金コミコミ)
赴任後継続的にドルが必要Wise 中心(非居住者だとSBI/FXルートは制限がかかる)
いつでも数円を削りたいだけFX口座は非推奨(規制・手間が割に合わない)

赴任後は「安いか」より「非居住者でも使えるか」で手段が絞られます。国内のネット銀行・証券・FXは非居住者になった瞬間に制限がかかる。だから大口のドル転は赴任前に済ませておく——これが一番シンプルな結論です。

僕の場合——4.5万円を捨てた失敗と、500万円を一括で換えた日

送金の手数料を甘く見て、約300万円の送金で4.5万円を無駄に払ったことがあります。渡米直後、生活の立ち上げ資金を日本から送ったときのこと。「安心だから」で経路を選んだ結果でした。渡米前の自分に一番言いたいことは、今でも「送金と両替の正しいやり方を先に調べておけ」です。

ドル転そのものは後悔していません。円安が進んでいた局面で、約145円のときに500万円を一括で換えました。正直すげぇ怖かった。でも「やらない後悔のほうが怖い」と思って、えいっとやった。今同じ状況でも替えると思います。現金をそのまま円で置いておくこと自体がリスクでしかない、と今は考えているから。

派手な為替読みはしていません。やっているのは「140円くらいまで円高に振れたら少しドルに替える」程度のゆるい運用だけ。それでも、手段を6銭の口座に変えるだけで往復のコストは確実に減る。タイミングは読めなくても、手数料は選べます。

よくある質問

Q. ドル転はいつやるのが正解?レートを待つべき?

正直、為替のタイミングは誰にも読めません。僕は「まとまった額を一括で換える」「円高に振れたら少し足す」くらいのゆるさでやっています。大事なのはタイミングより、手段を低コストな口座に固定しておくこと。読めないもの(レート)で悩むより、選べるもの(手数料)を先に最適化するほうがよっぽど現実的です。

Q. 住信SBIとソニー銀行、どっちがいい?

コストだけなら、優遇ステージに乗れるソニー銀行のほうが下がる余地があります(プラチナで4銭)。ただしステージ判定は残高・取引条件次第。特別な条件なしで安く、SBI証券とも連携できる住信SBI(一律6銭)のほうが、赴任前の駐在員には扱いやすいというのが僕の見方です。

Q. 赴任後もドル転したい。日本の口座は使える?

原則、非居住者になると国内のネット銀行・証券・FXは新規取引や口座維持に制限がかかります。そのため赴任後の継続的なドル転は、仲値で換金してくれるWiseが現実的な選択肢になりがちです。大口のドル転は非居住者になる前(赴任前)に済ませておくのが、手間もコストも抑えられます。

免責

この記事は一人の駐在員の実体験の記録であり、投資・税務・法律の助言ではありません。 投資は自己責任で、税務は必ず専門家にご相談ください。制度・手数料は執筆時点の情報です。 詳しくは免責事項へ。

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『駐在のお金、全部やってみた』

このブログの4年分の記録を、出国前→着任→駐在中→帰国の時間軸で1冊に再構成しました。 失敗の実額と実ポートフォリオまで、全部載せています。